ずっとやりたかったことが実現した

今日は先日の熊本出張のアフターフォローで一日忙殺されました。帰りに社長とおじさんたちと飲みに行って、治らない遅刻を責められながら、人形町で軽く酔っ払って新橋にはしごしました。ここまではわりといつものパターン。

東海道線はいつも通り混んでいました。でも知らない人と抱きしめあわないといけないほどではありませんでした。しゃんと立っていたつもりでしたが、電車が大きく揺れてちょっとよろめいた時、隣の人がぐっと私の手をにぎって体勢を持ち直してくれました。私はちいさく「ありがとうございます」とその人の方を向いて言いました。よく顔を見ませんでしたが30代前半の男性でした。しばらくその人は私の腕を支えるようにしていて、私は感謝の気持ちの中にいたのですが、その人は私のその手をそのまま自分の足と足の間に持っていき、股間にこすりつけはじめました。

痴漢にもほどがあります。助けてもらった手前、事を荒立てないようにその人の顔を見て、目でやめるように言いました。恥ずかしいことをしている自分の顔を他人にまっすぐに見られたら、やめるだろうと思いました。

私はいままで痴漢にあっても、大声を出したり、駅長室に突き出したり、やめてくださいと言うことができませんでした。なぜなら、満員で身体の自由を奪われた状態で、仕方なくカバンや杖なんかが触れただけだとしたら、もしそうでなくても人が痴漢として人前に晒された時、たかが痴漢の罪でその人の人生が台無しになってしまうかもしれない。そう考えると怖くて何も言えなくなってしまうのでした。だから目の前で女の子が痴漢の首根っこを取り押さえたりしているのを見ると、あんな風にやってみたいな〜と現行犯逮捕に激しい憧れを抱いていたのです。

30代前半の痴漢は、私に目を見られても、見つめ返してくる始末で痴漢行為をやめませんでした。私はもう一度痴漢の顔を見ました。間もなく下車駅に着き、私の中でシナリオは完成しました。私は痴漢の手を取ってホームに降り、ベンチに座りました。痴漢はおとなしく私の隣に座りました。これは相当の馬鹿です。何考えてんだ。

「お兄さん、もう絶対にこんなことしちゃ駄目だよ。サラリーマンでしょ?終わりだよ?このまま駅長さんにも言わないで帰してやるから、分かったら二度とやるんじゃねえ」と私は恐い顔で痴漢に言いました。

みるみるうちに痴漢が泣き出しました。私は「帰れ」と言いました(恐く)。痴漢が泣きながら頭を下げて走り去りました。痴漢逮捕を夢見ておよそ20年、私は今夜最高のシチュエーションで痴漢退治を実現しました。あとはあのサラリーマンが、もう二度と痴漢行為をしないことを心から祈るばかりです。

写真は痴漢と全く関係ありませんが、最近入手したごく親しい友人のプロモーション用ライター。目の前にあったのと青が綺麗だったので写真に撮ってみました。一銭にもならないことに時間を使うという点が凄い。この人はいろいろと面白い実験をしています。いろんな生き方があるなあ。現代アートの飛び道具です。